Sunday, October 07, 2007

ノスタルジー一般教養

 私の学生時代は第三次べビーブームの時代で大学も暫定措置として定員枠を増やしました。

その結果、一般教養の必修科目になるとまさにマスプロ教育そのもので大教室に400人やら500人が収容されるという事態が起こり、まともに先生の声が聞こえない状態でした。

そんな状態だから、学生も授業中に大学の長いすで寝る奴はいるわポップコーンをむさぼり食う奴はいるは、ひどい人になるとサークルの仲間内で勝手なおしゃべりを始めたりするわけです。

そのなかで「宗教学」を担当していた森田先生という人が考え出したのは「諸君はかくかくしかじかの日に出席して試験さえ受ければ単位をやる」としたわけです。

私も単位さえ取れればいいと思っていたので、指定された日に授業に出てみると

「今から配布する紙に学部と学籍番号を記入して箱の中に入れなさい」

と言い、なんとその先生自ら400人から500人いる学生たちに白い切符大の紙を1枚1枚丁寧に生徒に直接手渡していったのです。

老教授は「君たちの期待するものに対して私のできることはこれくらいのことです」といいたかったに違いありません。つまり学問をもって対価とすることができ得ない(=つまり、学生に学習意欲がない)から、400枚から500枚の紙片を誠意をもって配るしかない、という訳です。

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