Thursday, May 10, 2007

うるおいのある社会へ

昔、内田裕也さん主演の「水のないプール」という映画がありました。

地下鉄の職員を辞めた内田さんが一人暮らしの女性のアパートに侵入し、女性にクロロフォルムを嗅がせてはよからぬことをする、というストーリーだが、犯人が変わっているところは、朝になったら必ず女性のために朝食を作って帰ってゆくところである。

間抜けなことに犯人は犯行後に自分のまいたクロロフォルムを嗅いで眠りこけてしまい、逮捕されるのだが女性は何故か告訴をとりさげる。

「だって、なぜか優しかったんですものあの人」

その後、犯人と女性が灼熱の炎天下の中、裸足で水の入っていないプールのプールサイドに腰掛けて足をぶらぶらさせているシーンが最後に映し出されて THE END。

高度成長期の潤いがなくなりつつある社会に生きる、二人のこころには満々たる水がたたえられている。

若松孝ニ監督の見事な描写とメッセージ性に感服した。

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