Thursday, May 24, 2007

『護憲派の一分』の感想

印象に残ったのは、土井たか子さんの愛とその愛に対する執着心の強さだ。

こんな事を書くのは男女平等を唱える土井さんに失礼かもしれないが、女性の貞操感のような清潔感、子を想う「母」の思いの強さ(狩野芳崖の「悲母観音像」のようなイメージ)、つまり愛に対する執着心の強さが、憲法九条つまり平和憲法死守、護憲につながるのではないかと、考える。

次に印象に残ったのは、作家石川好さんの言葉。

(以下、引用)

アメリカ人は「リメンバー パールハーバー」と言って、日本人が「ノーモア ヒロシマ」と言う。

しかしそれを逆にしたほうがいい、と。

つまりアメリカ人が「ノーモア ヒロシマ」と言って、「原爆はもう落としません」と誓う。私たち日本人は「リメンバー パールハーバー」と言って、再び侵略戦争をしませんと誓う。

これなかなかいい考えだと思うんです。

(引用終わり)

これはまさに名案中の名案、まさに世界のど真ん中で平和憲法を叫ぶ、といった気分です。

意外だったのは、平和憲法が世界にあまりしられていないという事実である。

アメリカの著名なコラムニスト、ボブ・グリーンでさえ、高知に住む高校生の英訳した平和憲法の手紙を読んで、はじめてその素晴らしさを知ったというのであるから、驚きである。

最後にもっとも印象に残った箇所は、マザー・テレサの「愛」の反対語は「憎しみ」ではなく「無関心」だ、という言葉。

そして、マザー・テレサの国葬に日本国の代表として土井さんが出席したこと。そして、そのように計らったのが故橋本龍太郎首相であったことである。

横田めぐみさんの拉致事件に関わる社民党の対応のまずさから、田代まさし事件(※1)に次ぐ、凄まじいネットバッシングを土井さんは受けたのであるが、北朝鮮と交渉し紅粉勇船長と栗浦好雄機関長を救出したのは、小沢一郎さんと土井さんであったことを忘れないでいただきたい。

「書物はそれが書かれたとおなじくじっくりと慎しみぶかく読まれなければならない」と、『森の生活』を書いたソーローは言いましたが、その言葉通り、憲法前文を噛み締めるように読んでいただきたい。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いずれの国家も、自国のみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

平和憲法反対論者には、さだまさしさんの「防人の歌」を聴いて欲しいものだ。


(注1) 田代まさしネットバッシング事件:
2001年頃、世界の今年のナンバーワンの人物を決めるインターネット投票に“Masashi Tashiro”という投票が日本から殺到し、世界でナンバーワンの票を集め、主催側のアメリカから“Who is Tashiro?” という問い合わせが日本に来た、という国辱的人権侵害事件。


(後日譚)
IT社会における立派なインフラが整備されても、その道路を走るコンテンツがなければ、無駄な公共事業と同じ構図になってしまうのではなかろうか。ましてやITインフラは世界とつながっている。世界を走る道路にみすぼらしい日本の自動車を走らせることはできない。

「『出版巨人創業物語』とリベラルな出版ベンチャー 」
(http://www.yorozubp.com/0601/060119.htm)

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