Thursday, April 20, 2023

『とちおとめのババロア』(小谷野敦:青土社)

本作品は2018年3月に「文学界」に発表され話題を呼んだ作品である。小室圭さんと眞子さまの結婚騒動が起こる前である。著者の小谷野敦氏がアマゾンの書評に自ら投稿したコメントによると本作品は「天皇制を批判した小説」であるという。物語は東大卒で現在は女子大学でフランス文学を講じる38歳の大学准教授が、ネットお見合いをするところから始まる。そこで出会った女性が皇室の一員で皇統譜にも記載されている松浦宮の出身のヨウコである。外国文学や映画の話があい意気投合した二人は恋愛関係に陥る。民間人と皇室の交際とはどのようなところに行き、どのような会話をするのか興味をそそられるのだが、二人は喫茶店にいったり相撲にいったりしながら、我々庶民とは及びもつかぬ高度でハイソな会話をおこなっている。最後に波乱はあるものの、両家の両親の承諾を得て二人は無事結婚にこぎつける。通常、皇室に触れることはタブーで腰が引けてしまうのだが、小谷野氏は大胆に皇室の内部に踏み込み皇室の日常をあますことなく描いている。皇室の今を描いた快作。(免責事項)このブログは一般図書の一部を抜粋要約し、筆者の独断と偏見に基づき改編したものです。このブログで当該分野に興味をもたれた方は図書館で借りる、ないしは書店にて本をお買い求めになり、全文を精読されることをお薦めいたします。

No comments: