Monday, March 12, 2007

『日本はどう報じられているか』(石澤靖治編;新潮新書)

先日、国際平和協会主催、銀座で開催された「アジアの意思ぱーと3」で国際平和協会主任研究員の園田義明氏とNakano Associates代表の中野有氏とお話する機会を得た。

僭越ながら、私と園田氏、中野氏は萬晩報通信員として、たびたび「萬晩報」(http://www.yorozubp.com/)に寄稿している仲間である。

講談社現代新書から『最新アメリカの政治地図』を出版した園田氏は日本人の国際情勢への関心の薄さを嘆き、

「もうこれ以上、読者のパイは増えないでしょう。僕は絶望しているんです。日本人は日本の国内に起こった事件にしか関心を示さない」

一方『国際フリーター世界を翔る』という著書があるシンクタンカー中野氏はそれを受けて、

「ほほう、日本モンロー主義ですか。それはよくないことだなあ。僕が気になっているのは、僕のコラムに対する読者の反応の無さね。一つのコラムにつき20,000部を発信して、返ってくる反応がたったメール2~3通。僕は日本人の情報発信能力の低下に警鐘を鳴らしたいね」

とおっしゃった。

さて、閑話休題。

『日本はどう報じられているか』であるが、2004年1月に発行され筆者が購入した2006年9月版は14刷。この種の新書にしては息が長く売れているほうであると思う。園田氏は日本人は世界情勢に関心が薄い(「世界を見ること」)と分析されたが、私は逆のべクトル、即ち、「世界に見られること」世界の人々が日本の事象をどう見ているかには日本人は大いに関心があると思うのである。

本書は、イギリス・フランス・ドイツ・アメリカ・アラブ世界・中国・韓国の7カ国の駐在特派員が、駐在国の日本に対する報道をまとめた本である。

私は全体的な印象として、強大な2大陸に挟まれ日本と似た島国であるイギリスは日本に対してやや感情的な報道を、フランスは非常に好意的な報道を、敗戦から驚異的な経済復興を遂げ、よく日本と比較されるドイツは日本の経済面だけに関心を示し最近の日本の不況をことさら否定的に報道しているという印象を受けた。

この中で最も筆者を安心させたのは、Wカップの共催以来、韓国のジャーナリズムが「反日」一辺倒ではなく、好意的な報道が増えてきたという報告である。

最後に問題を感じたのは、外国の通信局の支局の人数が少ないため、記者の個性が偏ったニュースを発信する危険性を秘めていることである。

その例として本書は「日本女性が読む野蛮な漫画」「簡素な学校の制服に欲情することが流行」「異文化が衝突したとき、エチケットが消える」などをあげている。

これからは我々が各国の特派員になりかわり、英語、フランス語そしてイスラム語で日本の現状をきちんと説明してゆかねばならない。

インターネットというツールを獲得したわれわれは、中野氏が言うように「世界に発信する情報発信力」を誰もがもっている、という事を忘れてはならない。

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